授業中にいただいた質問です。
Q.透明水彩で濃く暗い色を出そうと思い、黒や茶色を混ぜた色を塗ると、濁ってしまします。どうやって色を作るのですか?

これは初心者さんから本当によく聞かれます。今回は薬ビンの絵で説明しながらお答えしていきます!

完成後と比較しながら見てみましょう。(紙がうねって写り方が歪んでいるのはご愛嬌ということで…)

結論から言うと、濃い色を出すためには下地を塗ります。
ビンの固有色は茶色ですが、濃いところにいきなり暗い茶色を濃く塗るのではなく、今回は赤紫(パーマネントバイオレット+クリムソンレーキ)を下地として塗ります。
要は、透明水彩が透明なことを利用して、下地の上から固有色を重ねたときに出したい色に見えるようにするのです!

上から固有色 (バーントシェナ) を薄く塗り重ねました。どうでしょうか。先ほどの紫が茶色に見えるようになっていませんか?
さあどんどん進めます。しっかり乾いてから、さらに濃い茶色を重ねます。

クリムソンレーキ

ここで!蓋のところに注目。
赤色(クリムソンレーキ)を使っています。蓋の陰をさらに暗くするためなのですが、なぜ先程の紫ではなく赤を使っているのかというと、単純に赤っぽく見えるからというのもありますが、鮮やかさの差を出したいからです!

先程の紫は、ガラスの向こうに見える鈍い暗色だったのですが、赤色を使ったところはガラスを通さず直接見える鮮やかな暗色です。奥行感・距離感を出すためにこのような違いをつくります。

最初の紫が薄れてしまったので、上からもう一度紫を薄く塗り足して乾かしてから、茶色をより濃くのせました。今回の茶色はクリムソンレーキとバーントアンバーを混ぜて、赤みを足しました。

最後は固有色を整えて・・・完成です!

如何だったでしょうか?
透明水彩は重ねて色を作る。是非試してくださいね。